by courtesy of Pete Ashton
先日、日経新聞に、スーパーの新しい収益源に関する記事が掲載されていました。
ネスレ日本はスーパー内に設ける小型カフェを年内に500店にする。同社がコーヒー用の粉末を供給し、スーパーが運営する形で3月から多店舗化を始め、すでに約70店を展開。集客のためにカフェを導入する小売店が増えており、ネスレはスーパーの要請を受け、出店を一気に増やしてコーヒーの販売拡大につなげる。(2013年7月19日付 日経新聞朝刊)
ネスレの新しいビジネスというよりも、スーパーの新しい収益源としての意味合いが強そうです。というのも、スーパーからの引き合いに、ネスレが応じているようだから。それだけ、スーパーは、今のビジネスモデルの限界を感じているのかもしれません。
スーパーの店舗を覗いていつも思うのは、その集客力の高さ。コンビニに顧客を奪われていると言われていますが、夕方~夜(17時~19時頃)にかけては、多くの人で賑わっています。(もちろん、店舗・チェーンにより違いはありますが。)それだけ高い集客力を持っていつつも、収益が向上しないのは、何かしら問題があるからに他なりません。今の時代、大部分の人が忙しく生活しているので、集客するのは本当に難しいのです。そんな環境にあっても、毎日一定の人を集めるスーパーは、それは単純にスゴイのです。
もちろん、それだけ必要必需品が安く販売されているということでもあるのですが、たとえ安売りで集客したとしても、集客したことに間違いありません。せっかく来てくれたのですから、その来店客のニーズをとことん満たさないと、もったいないわけです。だから、売れているコーヒーを場所付きで売るのだと思います。
この記事を読んで頭に浮かんだのは、
スーパーが現状の店舗利用方法にメスを入れるのではないか
ということ。つまり、今収益が思うように上がらないのは、売っている商品や価格設定だけでなく店舗の使い方自体に間違いがあるのではないか、とスーパーがついに気づいたのではないでしょうか。店舗内を歩いてつくづく思うのですが、いわゆる定番売場(通常価格で販売している棚)は、本当に閑散としています。来店客は多いのにもかかわらず、人が全くいない定番売場もあるほど。品揃えの関係上必要なのはわかりますが、ここまで人が寄り付かなければ、定番売場の縮小を考えても不思議ではありません。売場を作るには、それだけ家賃が掛かるわけで、人が寄り付かない売場を抱えることは、それだけ収益性が下がることになります。
そこで、収益性アップのために考えられたのが、カフェの併設。カフェ人気は、コンビニのコーヒー人気を見れば一目瞭然。さらに、外食業界でも、カフェに力を入れる企業が増えるほど、カフェの収益性の高さが注目されています。だから、スーパーがカフェの導入を考えても、全然不思議ではないです。
では、カフェのスペースをどう割り出すか。増床する店舗もあるでしょうが、売上の低い定番売場を縮小するのではないでしょうか。スーパー自体集客力の高い施設だけあって、カフェを作れば、利用者数はそれなりに見込めます。さらに、カフェで販売するコーヒーは、かなり利益率が高い商材です。一方、節約志向の高まりが今後も継続すると考えれば、定番売場での売場拡大はさほど見込めません。販売が小さくても、商品補充や賞味期限チェックなど、売場メンテナンスはそれなりに必要になります。
【スーパー店舗内のカフェ・定番売場の比較】
[カフェ]それなりの客数が見込める+高い利益率→収益性が高い
[定番売場]販売数量は小さい+売場維持にコストがかかる→収益性が低い
この収益性の違いを考えれば、定番売場を縮小して、その代わりカフェを作っても、全く不思議ではないのです。
カフェ・持ち帰りコーヒーの競争は、スーパーの参入により激化するのは必至。ただしスーパーにとって、その高い集客力は、競争上大きな優位点になるように思えます。
☆今日のまとめ☆
ネスレのカフェが、スーパーで拡大する模様。
これは、スーパーによる要請が高まったからで、店舗利用方法の見直しが進んでいるかもしれない。
収益性から考えて、売上が小さくメンテナンスコストの高い定番売場よりも、ある程度の客数が見込め利益率の高いカフェの方が、魅力的だろう。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
定番売場が縮小されれば、メーカーにとっては大きな痛手。
淘汰は必至でしょうね。