業績回復が著しいファミレス業態ですが、サイゼリヤは例外のようです。(月次実績はこちら)というのも、既存店売上で前年割れが続いているからです。客単価・客数ともマイナスなので、いずれも既存店売上が悪い要因なのですが、特にひどいのが客数。客単価は100%に届かないまでも、99%台で推移しています。
客数の減少は、客離れを示し、顧客から支持を失っているという意味に他なりません。ちょっとお金を出してでも美味しい料理を食べたい顧客はロイヤルホストに奪われ、節約志向を強めた顧客はコンビニやファストフードに奪われたのでしょうか。いずれにせよ、売上を伸ばすファミレス業界の法則が、サイゼリヤには成り立っていないのは間違いありません。
この違いは、以前取り上げた戦略の違いにあるのではないでしょうか。サイゼリヤとサイゼリヤ以外のファミレスの戦略を比較すると、次のようになります。
【サイゼリヤとサイゼリヤ以外のファミレスとの戦略の違い】
[サイゼリヤ]効率戦略→できるだけ低コストで提供することを優先
[サイゼリヤ以外のファミレス]交流戦略→顧客とコミュニケーションを取ることを優先
これまで通用していた効率戦略が、その効力を無くしていることを示しています。消費者ニーズの変化でしょうか。ファミレスを利用する消費者が、低価格といった効率よりも、サービスや雰囲気を含めた交流に重きを置いたのかもしれません。だからこそ、2000円台のステーキがよく売れるのでしょう。サイゼリヤの客単価が客数ほど落ち込んでいないのも、価格以外のものを顧客が求めていることを物語っているように思えます。
ファミレスに効率よりも交流が求められている今、サイゼリヤの競合はロイヤルホストからコンビニやファストフードに変わったとも考えられます。
☆今日のまとめ☆
業績好調なファミレス業界に属するにも関わらず、サイゼリヤの既存店が振るわないのは、戦略に問題があるのではないか。
消費者がファミレスに求めない効率戦略を続けることが、顧客離れを引き起こした要因のように思える。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
そういえば、私の友人の同僚に、サイゼリヤを居酒屋代わりに利用する人がいるようです。
ワインのマグナムボトルが1500円で飲めるのが、気に入っているとか。
サイゼリヤの居酒屋版が今後生まれるかもしれないですね。
ちなみに、ワタミのイタリアン居酒屋業態(カーラジェンテ)は失敗しましたが。